三幸プロパティマネジメントサービス株式会社はビル総合管理会社です。ビルと入居されるテナント様では毎日多くの方が働き、多くの方にご利用いただいております。その安全を確保、維持するのは当社の大きな役割です。
弊社では定期的に、防災用備蓄品の見直し、あるいは災害への対応力を養うために従業員の実習訓練を行っております。今回は「水害」をテーマに訓練を行いました。
今回も昨年行った防災訓練と同様に、非常時にあっても可能な限り通常通りの状況を維持し業務を続けられる企業としての体力、「事業継続」の力を養うことを最終的な目的としています。
前回の事業継続を目的とした防災備蓄訓練の記事はこちら
事業継続に向けた備え ~防災備蓄品訓練・電力編~
激しい雨に冠水する道路(出典:写真AC)
日本は元から雨の多い風土ですが、近年では、一部地域に帯状の雨雲が停滞することで膨大な降水量をもたらす「線状降水帯」、「ゲリラ豪雨」と呼ばれる短時間ではあるが局所的集中の非常に強い雨など、尋常ならざる気象の数々に「前例のない」「記録的な」という表現を繰り返し聞くようになりました。
気象庁Webサイトのデータ・資料、全国(アメダス)の1時間降水量1976~1985年と2013~2022年との比較データによれば、50mm以上の大雨の年間発生回数は約1.5倍、80mm以上は1.8倍と増加しています。
こうした豪雨は山間にあっては土砂災害、河川では氾濫による水害の危険があります。都市部においても例外ではなく「都市型水害」と呼ばれる現象が多発しています。それは市街地に豪雨が発生した場合に、河川や下水道に雨水が集中して流れ込むことで排水能力を上回ると、地表に水があふれる「内水氾濫」となり、都市機能をストップさせたり、地下空間に浸水したりするというものです。
これまでの下水道は、雨水流出率50%、降水量1時間当たり50mmに対応する計画(出典:国土交通省 水害対策を考える 3-3-5 限界を超える都市の排水能力)に基づき敷設されたものですが、先に挙げたデータのように50mm以上の大雨の年間発生回数は増えつつあります。それは都市部での氾濫の危険性が高まっているということです。
弊社では上述の気象災害の傾向・実例を踏まえ、悪天候下の水害発生に対処する訓練プランを立案。
訓練直前のミーティングでは実行前の再確認として、今回の訓練目的・手順の詳細説明を行いました。
水害時の浸水対策といえば、まず土嚢を使った止水が挙げられます。しかし、十分な止水効果を発揮するための土嚢の作成・積み上げには、前提となる技術や経験を必要とする部分があるようです。土砂を詰めるため重量は1つが20~30㎏と非常に重く、高さ40㎝幅200㎝の土嚢壁の設置が完了するまでに大人2人で100分かかると言われます。その他に原材料となる大量の土砂の準備・確保、止水に使用した後の処分などの注意点があり、都市部での運用には難しいものがあります。
そこで今回の止水訓練に「吸水土嚢」を準備しました。吸水土嚢は、土の代替物として高吸水性ポリマーが入っています。使用前は軽量で厚み2.5㎝/200gほどですが、水に浸すと数分で厚み20cm/17kgの体積にまで膨張します。これを並べて止水壁にします。現場スタッフをはじめ、吸水土嚢を初めて見るという参加者は多く、使用前・使用後の変化に関心を持って聞いていました。
水の流入を防いだ後、水の排出作業に移ります。流入水の速やかな除去は、建物・設備をダメージから守ることであり、館内の衛生を保つことでもあります。
悪天候下の停電の状況の想定なので、建物内の電源は使えません。そこでポータブル発電機の出番となります。排水ポンプを発電機に接続して起動させると、浸水に見立てたプラスチックケース内の水は、無事ビルの屋外へ排水されました。
訓練終了後、参加者に今回の訓練内容について感想を募りました。感想には、新しい技術に対する関心や、機材取扱いに関する留意点、または、次回訓練への改善につながる意見などがありました。
中でも
という感想は、疑似体験を積み重ねることにより緊急事態への対応力を高める、訓練の意義と成果を感じられるものと思いました。
訓練実施の間、入居テナントの皆様やビルご利用のお客様、近隣の皆様方には、ご理解・ご協力をいただき誠にありがとうございました。
弊社では事業継続に向けた建物設備、災害対策等に関するご相談を承っております。
設備を導入したい、見直しをしたい、または、どのようなものがあるのか知りたいなど、ご検討の際にはどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
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